「ニュースを見ていると、『円安が続きます』ってよく聞くけど、そもそも円安って何? それが私たちにどう関係あるの?」 そんな疑問、ありませんか? 難しそうに聞こえる「円安」を、保育園の先生の身近な例えで、とことんやさしく解説します。世界のお金の動きが、給料やお買い物の値段にどう繋がっているのか、一緒に見ていきましょう!
結論:日本の「円」の価値が下がり続けているから
円安が続く一番の理由は、一言で言うと、日本の「円」というお金そのものの価値が、他の国のお金と比べて下がり続けているからです。
お金にも「力」や「人気」があると考えてみてください。以前は「円」はとても力が強くて、みんなが「円が欲しい!」と思っていました。でも今は、アメリカの「ドル」の方が圧倒的に人気で力が強くなっています。だから、以前は少ない円で買えたドルを、今はより多くの円を出さないと買えなくなってしまった。この状態が「円安」です。
理由:その1 「金利」という”ご褒美”の差が大きすぎる
なぜ「円」の価値が下がったのでしょうか? それは、日本とアメリカの「金利」という”ご褒美”に大きな差ができたからです。
「金利」を、子どもたちへの「ご褒美」に例えてみましょう。
- 日本銀行(日本の中央銀行):「私のところにお金を預けてくれたら、ほんのちょっとしかご褒美(利子)をあげられません。その代わり、とっても安全ですよ」
- アメリカのFRB(アメリカの中央銀行):「私のところにドルでお金を預けてくれたら、すごくたくさんのご褒美(利子)をあげますよ! ちょっとだけ冒険だけど、価値あります」
もしあなたが世界中のお金を管理する人(投資家)だったら、どちらに預けますか?
もちろん、ご褒美がたくさんもらえる方ですよね。
だから、みんなは「ご褒美が少ない円」を売って(手放して)、「ご褒美がたくさんもらえるドル」を買いに行きます。そうすると、「円はいらない人が増える→円の価値がさらに下がる」「ドルが欲しい人が増える→ドルの価値がさらに上がる」という流れができ、円安が続いてしまうのです。
理由:その2 経済の「元気度」のギャップ
もう一つの理由は、日本と海外、特にアメリカの経済の「元気さ」や「将来への期待」に差があるからです。
保育園のクラスに例えるなら…
- アメリカ経済:活発で食欲もあり、どんどん新しい遊びを考え出す、元気いっぱいの子ども
- 日本経済:おとなしく、食欲もいまひとつで、なかなか大きくなれない子ども
みなさんは、これからもっと成長しそうな、元気な子どもに期待して応援したくなりませんか?
経済の世界も全く同じです。物価も賃金も企業の業績も好調なアメリカ経済は「これからもっと成長する!」と信じられ、世界中からお金が集まります。一方で、長い間デフレ(物価が下落すること)から抜け出せず、なかなか給料が上がらない日本経済は「残念ながらパッとしないな…」と見られ、お金が集まりにくい状態なのです。
具体例:お散歩での”おやつ交換”を想像してみて
これを、保育園のお散歩でする「おやつの交換」に置き換えてみましょう。
- 昔(円高の時):あなたの持っている「りんご飴1個」で、アメリカの先生の「大きなチョコクッキー1枚」と交換できました。
- → これは 1ドル = 100円の状態です。
- 今(円安の時):あなたが「りんご飴1個」を出しても、アメリカの先生は「それだけじゃダメだよ」と言います。同じ「大きなチョコクッキー1枚」と交換するには、「りんご飴1個」に加えて「みかん飴1個」も追加で渡さないといけません。
- → これは 1ドル = 150円の状態です(りんご飴=100円、みかん飴=50円と考える)。
これが円安の正体です。日本の「円」という”飴”の価値(魅力)が下がったために、同じ”クッキー”(ドルや外国の商品)を手に入れるのにより多くの”飴”(円)が必要になってしまった状態なのです。輸入される食品やガソリンが値上がりするのは、まさにこれが原因です。
まとめ
円安が続く根本的な理由は、日本の低い金利とパッとしない経済状況により、「円」が世界で「買われにくい通貨」になってしまっているからです。なぜなら、お金はより多くの利益(ご褒美)を生む場所、そして将来が明るいと感じられる場所に自然と集まる性質があるからです。現在はアメリカの高い金利と堅調な経済成長がその条件を満たしており、資金がドルに集中しています。まるで、保育園のおやつ交換で、自分の飴の価値が下がると、同じクッキーをもらうのに倍近い飴を要求されてしまうようなものです。輸入品の値段が上がるのは、まさにこの「交換レート」が悪化した結果なのです。したがって、この円安の流れが根本から変わるには、日本が「金利」と「経済成長」という2つの面で、世界に対して「円の魅力」を取り戻す必要があるのです。私たちの生活に直結する問題だからこそ、その仕組みを理解しておくことが大切ですね。
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